「ススキノ首狩り娘」はいかにして誕生したのか…精神科医の父が娘の凶行を止められなかった哀しい理由

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■失敗しない子育てなんてあるのだろうか 昔から「子育ては失敗する」といわれてきた。 しかし、親になった以上、子どもが荒波逆巻く人の生を生き抜き、幸せな人生を送ってほしいと望まない親はいないのではないか。 しかし、どう子育てをしたらそんな子になってくれるのか悩む親のために、指導書が巷(ちまた)には溢(あふ)れている。成功する子育て、失敗する子育て、どうしたら心の強い子に育つのか、私はこうして子供を東大に入れた、などなど。 私はこの手の本を読んだことはなかったし、私の子どもたちに期待することもなかった。 無責任な親だったが、それでも長男は突然中国にわたり就職した後、帰国してアメリカ資本のドラマ配信会社に入り頑張っている。 長女は手堅い中堅企業で着実にキャリアを積み重ねている。次男は大学には行かず、アルバイトをしながらロック野郎としての道を歩んでいる。私にはこういう生き方はできなかった。うらやましいとさえ思っている。 3人子どもがいれば三様の生き方がある。それでいい。 だが、自分の娘が小学校低学年の時、同級生のひと言に激怒し、彼の首にカッターナイフを突きつけたとしたらどうであろう。 親を奴隷のように扱ったり、架空の恋人と虚空を見つめながら愛を語ったりするようになったら、私だったらどう対処できたのだろう。 ■頭部のない全裸男性の遺体が発見される 精神に異常をきたしたのだから精神病院にでも入れろと、多くの親たちはしたり顔でいうのだろうが、娘の父親は精神科医、しかも名医だったというのである。 週刊文春(6月20日号)の「ススキノ首狩り娘(田村瑠奈・30)と精神科医父(60)のSMプレイ」は、娘の母親・浩子(61)の冒頭陳述や綿密な周辺取材で、この事件の“深層”に迫ったすぐれたルポルタージュである。文春を見ていこう。 昨年7月2日、札幌市内のラブホテルの一室で、頭部のない全裸男性の遺体が発見された。被害者は、恵庭市に住む会社員のA(当時62)だったが、ホテル内や周辺の防犯カメラは、大型のスーツケースを引き、現場を1人で立ち去る小柄な同行者の姿を捉えていた。 捜査当局は被害者と接点のある女に絞り込んで捜査を進めたが、この世にも稀(まれ)な猟奇事件は単独犯ではなかった。娘とその両親による犯行だったのである。 7月24日、北海道警は、職業不詳の田村瑠奈を殺人、死体損壊、死体領得、死体遺棄容疑で、その父親で精神科医の修はほう助容疑で逮捕した。翌25日、母親の浩子もほぼ同じ容疑で逮捕された。

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