東京都知事選は過去最高の56人が乱立する事態になった。候補者のポスターを貼る掲示板には48人分の枠しかなく、どこの掲示板も8人分の枠が足りない状態だ。政治団体「NHKから国民を守る党(N国)」が24人もの候補者を立てたことが大きな原因で、枠が足りなくなったことに加えて、その枠の利用権を売買する動きもあり、都の選挙管理委員会には苦情の電話が殺到する。地方政治や選挙に詳しい法政大学大学院の白鳥浩教授に掲示板をめぐる問題のポイントを聞いた。 告示翌日の21日、記者は都選挙管理委員会に何度も取材の電話を入れたが、とうとう一度もつながらなかった。都知事選のポスターに関する疑問や苦情が殺到しているのだという。 候補者にはそれぞれ、掲示板における枠に該当する番号が割り振られる。候補者は自分に与えられた番号の枠にポスターを張ることになる。番号は午前8時半までの受付した立候補希望者のくじ引きと、それ以降に訪れた希望者の先着順で決まった。49以降の番号になった候補者には、都内1万4000カ所にのぼるいずれの掲示板でも、48ある正規の枠は使えない。代わりに都選管が用意したのは、クリアファイル、雨よけ用の袋などだった。掲示板の左右の枠外や上部に各候補者自身が、選挙ポスターの入ったクリアファイルを、ホチキス、画びょうなどで固定するのだという。 白鳥教授「この時点で、48番までの人と49番以降の人で、選挙の条件に差ができてしまった。49番以降の人の条件が悪い。公平な選挙とは言えない」 都選管の責任者は「49番目以降の候補には手間をかけてしまうが、許容範囲の対応だと判断した」と説明する。 白鳥教授「雨が降ったら、掲示板の端に止めたクリアファイルには雨が溜まるかもしれない。風が吹いたら、ファイルが揺れて見えにくいですよね」「クリアファイル組になって落選した人が『不公平だった』と、選挙無効の訴えを起こす可能性もあると思う」