神奈川県警で現職の警察官が逮捕される不祥事が相次いでいる。19日には海老名署員が洗濯物を盗もうとしたとして窃盗未遂容疑で現行犯逮捕された。今年5人目の逮捕者となり、今年に入って半年で昨年1年間の逮捕者数に達した。止まらない不祥事に県警幹部は危機感を募らせている。 「短期間に複数の逮捕者が出たのは甚だ遺憾だ。調べて対処していくしかない」。19日夜、県警本部10階の監察官室。海老名署地域課巡査長の宮村修平容疑者(38)=秦野市=が窃盗未遂容疑で現行犯逮捕されたことを受けた緊急記者会見で、加藤秋人監察官室長はそう語った。 宮村容疑者の逮捕容疑は19日午後4時半ごろ、秦野市内のアパート敷地内で、1階屋外に干されていた洗濯物を盗もうとしたとしている。室内にいた住人の男性(29)が外で洗濯物を触っている宮村容疑者を発見。逃げる宮村容疑者を男性が約100メートル追いかけて取り押さえ、秦野署員に引き渡した。宮村容疑者は容疑を否認している。 県警警察官の逮捕者は今月に入って宮村容疑者で3人目。5日には、平塚署の男性巡査長(35)が詐欺未遂容疑で逮捕され、県警本部組織犯罪分析課の男性巡査部長(38)が住居侵入容疑で現行犯逮捕された。一日で2人の逮捕者が出る事態に再発防止を誓ったはずだったが、わずか約2週間後に再び逮捕者が出た格好だ。 監察官室によると、県警警察官の逮捕者は2019年3人▽20年3人▽21年3人▽22年1人▽23年5人――だった。今年は半年ですでに昨年の逮捕者数と並んだことになる。 逮捕者が相次ぐ異常事態に、ある県警幹部は「恥ずかしい。歯止めをかけて県民からの信頼を回復するしかない」と肩を落とす。別の幹部は「そもそも逮捕者がゼロであることが普通。あってはならない事態が続いている」と嘆いた。【横見知佳、柿崎誠】 ◇2024年の県警警察官の逮捕者 (逮捕日・容疑・所属) 2月・地方公務員法(守秘義務)違反・県警本部薬物銃器対策課 男性巡査部長 4月・地方公務員法(守秘義務)違反・川崎署 男性警部補 6月・詐欺未遂・平塚署 男性巡査長 6月・住居侵入・県警本部組織犯罪分析課 男性巡査部長 6月・窃盗未遂・海老名署 男性巡査長 ※5月には厚木署交通課の男性巡査部長を公然わいせつの疑いで書類送検