中国が欧米パイロットを引き抜き、ファイブアイズが警告

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中国が欧米人パイロットを「指導役」として勧誘している──米政府は「ファイブアイズ」(米、英、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドの機密情報共有同盟)と連名で、そう警告した。 「中国人民解放軍は欠点を克服すべく、自国の飛行士を訓練する目的で欧米の軍事分野の人材を積極的に引き抜いている」と、米国家情報長官室(ODNI)が発表した5カ国の共同文書は指摘する。 中国軍とのつながりをぼかすため、中国当局は自国と南アフリカにある民間企業を使い、元軍人や現役の軍人、特にアメリカとNATO同盟国の戦闘機パイロット、フライトエンジニア、航空作戦要員を探しているという(本誌はこの件で米空軍に電子メールでコメントを求めている)。 「中国軍は欧米の軍事的専門知識を盗むことにより、航空能力を向上させ、将来の作戦計画を改善し、欧米の軍事戦略に対抗できる」と声明は指摘。中国に専門知識を流出させた現・元軍人たちは、出身国の軍人の安全や国家安全保障を脅かすと付け加えた。 この声明は現・元軍人に対し、「最終的な『受益者』が曖昧な」勧誘に注意し、「魅力的な契約」や「特別な航空機」を操縦する機会に警戒するよう、クギを刺した。勧誘に乗った指導役が「法的危険」に直面する可能性があるとも警告している。 例えばオーストラリア政府は2022年、元米海兵隊パイロットのダニエル・ダガン(退役後オーストラリアに帰化)が北京滞在中の6年間、中国人パイロットに空母への離着艦訓練を行ったとして、米武器輸出管理法違反の疑いで逮捕した。ダガンは容疑を否定。身柄引き渡しを求める米政府と法廷で争っている。 英国防省は同じ22年、最大30人の元英軍パイロットが中国でパイロットの訓練を行ったと発表。この他にも現役軍人を含む多くのパイロットに中国関係者が接触した事実を把握していると述べた(在米中国大使館はコメント要請に対し、即座に返答しなかった)。 中国は35年までの軍近代化を目標に掲げ、過去数十年間に大きな軍事的進歩を遂げてきた。習近平(シー・チンピン)国家主席は、中華人民共和国建国100周年の49年までに「世界一流」の軍隊になることを人民解放軍に求めている。 現在では殲20(J20)と殲31(J31)という2種類の第5世代ステルス戦闘機を保有。核兵器と極超音速ミサイルも急ピッチで能力を拡大させている。海軍は艦艇数で世界最大。2隻の空母を保有しているが、NATOの空母に比べれば小型で、性能も劣る。

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