台北近くの河口に中国人が乗った小型船侵入 探知遅れで警備に懸念

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台湾の海巡署(海上保安庁に相当)によると、北部・新北市の淡水河(たんすいが)河口に9日午前、小型ボート1隻が侵入し、同署は運転していた中国人男性を逮捕した。台湾当局は11日、男性は元中国海軍艇長だと明らかにした。淡水河河口は、台北市の総統府まで直線距離で約20キロの距離にある。台北の「のど元」に中国船の侵入を許した形で、警備態勢への懸念が出ている。 海巡署などによると、9日午前9時45分ごろ、新北市淡水地区から約6カイリ(約11・1キロ)離れた海上で、不審な小型ボート(全長約9メートル)がレーダーに映っているのが確認された。ボートはその後、淡水河に入り、河口から約3キロ上流の地点で川の両岸を結ぶ渡し船と衝突し、ふ頭に停船。その後、海巡署職員らが男性の身柄を確保した。 台湾メディアによると、男性は当局の調べに対し、台湾の対岸にある中国・福建省から出港したと供述。中国のネット交流サービス(SNS)で反中国的な言論を発表したことで出国が制限されたため、政治的な迫害を逃れようと密航を企てたという。これに対し、海巡署を傘下に持つ海洋委員会の管碧玲・主任委員(閣僚)は、中国が小型船で台湾海峡を渡ることができるか試した可能性もあると発言。侵入の目的や背後関係などを慎重に調べる。 淡水河は中国軍の台湾侵攻時に総統府を急襲するルートの一つとして想定され、台湾軍が警戒を強めているだけに、接近を許したことに懸念が出ている。管氏はレーダーを監視していた職員が、ボートを港に戻る台湾の漁船だと思い込んだことなど、ミスが重なったと釈明。海巡署の幹部を処分したと明らかにした。同署によると、過去1年余りで中国人が不法上陸容疑で検挙されたのは18件という。 9日は台湾では3連休の中日で、海辺の観光地として知られる淡水には多くの行楽客が訪れていた。近くの土産物店店主は「付近を軍が警戒しているのは知っているが、まさかこんな平和な場所に中国船が来るとは」と驚いた様子だった。【淡水(台湾北部)林哲平】

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