発売前の漫画誌の画像がインターネット上に出回る「早バレ」が大きな問題になっている。今月4日には、集英社「週刊少年ジャンプ」の画像を発売5日前にネット公開したとして、外国籍の男らが逮捕された。画像はセリフを翻訳して海外で無料拡散された可能性もあり、業界では「漫画出版文化の根底を壊しかねない行為」と危機感を強めている。 2018年に閉鎖された「漫画村」に代表される海賊版サイトによる被害は後を絶たない。同様の海賊版サイトが現れては、出版社が閉鎖を求める“いたちごっこ”が続く。出版社も対策に乗り出しており、講談社などが参加する漫画サブスクサービス「Mangamo」のほか、集英社が手掛けるアプリ「MANGA Plus」で漫画を世界配信。海外のファンが海賊版に手を出さなくても人気漫画が読める環境づくりに務めている。 「漫画村」を巡っては22年、元管理人の男性に対し、小学館、集英社、KADOKAWAの出版大手3社が共同で約19億円の損害賠償を求めて提訴した。出版社の厳しい姿勢もあり、当局は大手海賊版サイトを立て続けに摘発している。出版社などがつくる団体ABJ(東京)によると、海賊版サイトによってタダ読みされた23年の被害額は、約3818億円。コロナ禍の巣ごもりで激増した21年の約1兆19億円からは減ったが、コロナ前を大きく上回る水準にある。