社福法人資金横領疑い 前理事長ら2人逮捕 数千万円被害か 清水署など

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静岡市清水区の社会福祉法人「誠心会」の資金を着服して不正に送金したなどとして、清水署と県警捜査2課は21日、業務上横領の疑いで、埼玉県新座市片山3丁目、誠心会前理事長で団体役員の男(43)、東京都中央区勝どき6丁目、団体職員の男(52)を逮捕した。団体役員の男は警視庁の元警察官で、団体職員の男は俳優・歌手の南野陽子さんの夫とされる。県警は団体職員の男が主導して、理事長だった団体役員の男の法人内の立場を悪用し、数千万円単位の資金を横領するなどしていた可能性があるとみて実態解明を進める。 2人の逮捕容疑は共謀して2022年10月26日、都内の金融機関で、同法人名義の口座から、団体職員の男が実質的に経営する会社を振込名義人にして同法人の資金1500万円を、同法人とは無関係の会社に送金して横領した疑い。この会社は2人の関係会社だった。2人は現在、同じ団体に所属している。 関係者によると、着服行為は静岡市の監査などで今年に入って発覚し、市が県警に告発していた。団体職員の男は法人内で役職に就いていなかったにもかかわらず、監査への対応を主に担っていたという。団体職員の男は似た手口で同様のトラブルを他県でも複数起こしていたとされる。 団体役員の男が理事長に就任したのは22年10月1日で、着服は就任した直後に行われた。理事長職は23年3月6日に辞任した。誠心会は清水区内で特別養護老人ホームを運営している。 県警は21日午前、2人の自宅を家宅捜索し、関係資料などを押収した。県警は着服金の使途や動機に加え、2人の具体的な関係性を解明するほか、他に関与した人物の有無なども慎重に調べる。 ■施設関係者ら「前理事長は言いなり」 静岡市清水区の社会福祉法人「誠心会」の資金を着服して不正に送金したとして、前理事長の団体役員の男と団体職員の男が業務上横領の疑いで逮捕された事件で、同法人の複数の関係者が21日までに静岡新聞社の取材に応じ、「団体役員の男は、団体職員の男の言いなりのようだった」と話した。 関係者によると、団体役員の男が同法人の理事長に就任した22年10月以降、団体職員の男も経営に関与し始め、同法人と取引関係のない会社の口座に複数回に分けて資金を振り込んでいたことを確認した。不審に思った職員が「本当にいいんですか」などと尋ねることもあったという。 施設への監査などの対応は、当時理事長だった団体役員の男ではなく、基本的に団体職員の男が担っていたとみられる。団体役員の男が団体職員の男の運転手を務めて施設に来ることもあったといい、施設関係者は「団体職員の男が事件を主導したのでは」と口をそろえる。 特別養護老人ホームは介護報酬などの公金も投じて運営される。同施設の関係者は「一体何をされていたのか全容を捜査で明らかにしてほしい。利用者に迷惑をかけないよう、横領された資金も必ず返済してほしい」と求めている。

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