2019年7月、京都府伏見区の京都アニメーション第1スタジオで起きた放火殺人事件では、36人が死亡し、32人が重軽傷を負った。平成以降、最悪の惨事とされている。 逮捕された青葉真司被告の裁判員裁判が京都地裁ではじまったのは9月5日のことだ。公訴事実については認めた青葉被告だが、「今思えばやりすぎだった」と語るのみで、反省の態度は見られず、謝罪の言葉もない。 合計32回におよぶ京都地裁での裁判員裁判には、50人近くの遺族や被害者が「被害者参加制度」で見守っている。青葉被告のあまりの態度に、遺族の一人は法廷から外に飛び出し、涙していた。 裁判で最も注目されるのは、青葉被告がなぜ犯行に及んだのか、その動機である。事件直後から「小説がパクられた」ことが、青葉被告の動機だと報じられてきた。 裁判は第3回目から、青葉被告の被告人質問を7回続けて行う審理予定だ。この被告人質問で、青葉被告の主張する動機に疑問符がつく展開になっている。 青葉被告は京都アニメーションの3つの作品で、自分の小説の中身が「パクられた」と主張している。盗用したのは、京都アニメーションで数々の受賞経験がある女性監督だとも語った。 「パクられた」というのは、青葉被告が2016年に「京都アニメーション大賞」の小説部門に応募した短編の「仲野智美の事件簿」、長編の「リアリスティックウェポン」 2つである。