韓国大統領選(3月9日投開票)の公式選挙運動が15日始まった。与党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)前京畿道知事と、保守系最大野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソンヨル)元検事総長が、激しく競り合っている。韓国の歴代大統領は、在任中に亡命や暗殺、退任後に逮捕や自殺など、悲惨な末路をたどるケースが多い。与野党候補が総力戦を展開するなか、ジャーナリストの室谷克実氏は、絶大な権力を握る文在寅(ムン・ジェイン)大統領の動向に注目している。 ◇ 韓国大統領選は本番に入った。3月10日に当選人が決まるが、新大統領の就任は2カ月後の5月10日だ。その前日9日午後11時59分59秒まで、国家権力は文大統領が握っていることを忘れてはならない。彼がその気になれば「大統領選挙当選人の逮捕」だって、あり得るのだ。 告示の1週間前、韓国の政界に大きな衝撃が走った。野党「国民の力」の候補である尹元検事総長が「(前政権の積弊は)捜査されなければならない」と述べたためだ。これは韓国紙・中央日報のインタビューで、「大統領になったら前政権の積弊清算捜査をするのか」という質問に答えた発言だ。 まさか、「前政権の違法行為については目を閉じる」などと言えるはずがない。インタビューの流れからすれば、これは一般論だ。 しかし、政権与党は「尹錫悦は政治報復する意思を公言した」と、発言を歪曲(わいきょく)宣伝した。 そのうえで、文大統領自ら、尹氏に対して謝罪を要求した。文政権には非理・違法行為があるという前提で話したのだから謝罪すべきだという論法のようだ。 韓国には「大統領は選挙に介入せず」の大原則がある。告示前だったから「選挙への介入」には当たらないとしても、政界の緊迫は一挙に高まった。 振り返れば、文氏が大統領当選直後から進めてきた内政は「左翼政権の永続化」のための作業だった。 まず、露骨な人事により、警察と軍と最高裁を「政権の飼い犬」にした。中央から地方まで各級の選挙管理委員会も掌握した。そうした状態で、与党陣営は2020年の国会議員選挙で大勝利した。 文氏は「これで22年の大統領選も大丈夫」と思ったに違いない。ところが、彼が後継者と考えていた人材は、娘の入試のための不正、セクハラ露見などで次々と消えていった。そして、与党の予備選挙で大統領候補になったのは、「スキャンダルの百貨店」とも呼ばれる李前京畿道知事だった。 2月第3週初めの選挙情勢は、尹氏が鼻の差リードしているようだ。しかし、尹氏がこのまま逃げ切り5月には大統領に就任し、文氏はすぐに監獄へ―という見方は甘すぎる。 文氏がなぜ、「韓国版ゲシュタポ」とされる高位公職者犯罪捜査処(公捜処)を強引な手法でつくったかを考えてみなくてはならない。自分を監獄に送りかねない政治家が、政治権力を握ることを阻止するためにつくったのが公捜処だ。 だから、1つのシナリオは、こうなる。 尹氏の当選が確実になったとき、あるいは当選確定後、公捜処が尹氏を逮捕してしまう。罪名なんて後から考えればいいことだ。 当選人逮捕を受けて中央選管委が選挙そのものの無効を宣言するのか、2位の繰り上げ当選を認定するかは、恐らく1、2位の得票差による。 文氏は憲法に従い5月9日で退任する。その時点で新大統領が不在であるなら、憲法規定に従い、首相が大統領権限代行として国政を取り仕切る。実質は、文氏の院政だ。 もっとも、こんなシナリオの進展を保守派が黙ってみているかどうか。必ず血の雨が降る。それは西側による「非民主国家への経済制裁」につながるだろう。 それでも、こうしたシナリオを進められるものかどうか。 「民主主義」の衣をかぶった「大統領制独裁国家」の恐ろしさがここにある。 ■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に『悪韓論』(新潮新書)、『反日種族の常識』(飛鳥新社)、『呆韓論』(産経新聞出版)、『韓国のデマ戦法』(同)など多数。
2022年 2月 の投稿一覧
京王線車内通り魔 「薄ら笑い」の根底に潜む〝悪人〟願望 病む日本人・ジョーカーの時代
【病む日本人 ジョーカーの時代】 いまや、映画「ジョーカー」のように社会を不安に陥れる人物はどこにでもいます。それを世間に知らしめたのが、昨年のハロウィン(10月31日)の夜、東京都調布市の京王線の車内で起こった無差別刺傷事件でしょう。 逮捕された服部恭太容疑者(25)は、男女17人を次々に刃物で切りつけ、逃げ惑う人々に油をかけ、火が付いたライターを投げつけました。そして、大混乱する車内でシートに座り、「薄ら笑い」を浮かべてタバコをふかしたのです。その姿はSNSで拡散され、見た人はすぐに彼がジョーカーの格好をしていることに気がつきました。実際、彼は、「ジョーカーに憧れて犯行を起こした」と供述したのです。 服部容疑者は福岡市の出身で、母親と妹の3人暮らし。地元の中高を卒業後、介護ヘルパーやネットカフェ店員として働き、3年前に携帯電話関連会社に就職してオペレーターの仕事をしていました。しかし、5月に客とトラブルになって退職し、7月末に、家族に「気分転換に旅行に行く」と福岡を離れています。その後、神戸と名古屋に1カ月ずつ滞在し、8月に小田急線刺傷事件が起こると、それを参考に、同じことをハロウィーンの夜にやることを思いついたようです。 事件後、彼の身辺を取材したメディアによると、服部容疑者は長年交際していた恋人に、ほかの男性と結婚すると逃げられ、その直後に、公開されたばかりの映画『ジョーカー』を見たと言います。社会から阻害され、絶望の中で孤独に生きるジョーカー。その姿に自身の姿を重ね合わせたわけです。 しかし、本当に絶望しているなら、単に自殺するだけでしょう。他人を巻き添えにする事件を起こしてから死ぬというのは、1度はヒーローになりたいという欲望があるからです。本当のヒーローになれるわけがないから、〝悪のヒーロー〟になろうとするのです。 彼にとって、大勢の乗客がいる電車の中は最後の舞台でした。自分の姿がSNSで発信されるのを見越していたことを思うと、彼の心理はトラブル系のユーチューバーと同じです。彼はもともと「自虐性ナルシスト」と言っていいでしょう。 映画のジョーカーは時々、なんの脈絡もなく笑います。人は楽しい時だけ笑うわけではありません。「失笑」という言葉があるように、試験の時、面接の時、結婚式などのセレモニーで突然、笑いが込み上げることがあります。これは緊張が昂(こう)じて起こるとされ、「失笑恐怖症」などとも呼ばれています。 服部容疑者は、車内で薄ら笑いを浮かべていました。その笑いの根底には、これまで抱いてきた妄想があります。劇場型の罪を犯せばヒーローになれるというのは、完全な妄想です。 妄想には一次妄想と二次妄想の2段階があり、例えば、京アニ事件の犯人は自分の小説をパクられたうえにアイデアを盗まれたと思い込んでいました。これは、「思考奪取」という症状で、さらに幻聴もあったと聞きます。このような一次妄想に対し、二次妄想はかなり現実的です。小田急線刺傷事件の容疑者は「幸せそうな女を見ると殺したかった」「勝ち組が憎かった」と供述していますし、服部容疑者は、「自分で死ねないので死刑になろうと思った」「ハロウィーンで電車に人が多く乗っていると思った」と供述しています。どちらも、それなりの理性と計画性があります。 完全に妄想の世界に浸っている人間なら、「妄想型統合失調症」と診断します。服部容疑者は、そこまではいかないまでも、「パーソナリティ障害」の可能性があります。パーソナリティ障害とは、一般的に、社会生活のストレスから精神障害を起こし、ものごとの認知能力、感情のコントロール、対人関係などに支障をきたすことです。 =あすにつづく ■吉竹弘行(よしたけ・ひろゆき) 1995年、藤田保健衛生大学(現・藤田医科大学)卒業後、浜松医科大学精神科などを経て、明陵クリニック院長(神奈川県大和市)。著書に『「うつ」と平常の境目』(青春新書)。
「ファスト映画」逮捕前に男が語った主張は“二転三転”
有名映画を無断で10分程度に編集した「ファスト映画」をネット上に公開し誰でも閲覧できるようにしたとして、ユーチューバーの高杉幸男容疑者(48)が15日、宮城県警に著作権法違反の疑いで逮捕されました。 逮捕直前の取材に高杉容疑者は「これで犯罪者扱いはおかしい」と主張していました。
「バスジャックだ!」乗客の男性4人がとった行動 ナイフ持つ男の現行犯逮捕につながる 愛知
名古屋市北区で1月に発生したバスジャック事件で、早期の解決に協力したとして、当時車内にいた乗客らに警察から感謝状が贈られました。 事件は1月20日午後11時半ごろ、北区萩野通の停留所に止まっていた名古屋市営バスの車内で起きました。 バスの中でナイフを持っていた疑いで現行犯逮捕・起訴された男(43)の起訴状によりますと、 男は車内で運転手に対し刃渡り約13センチのナイフを出し、「バスジャックだ」「止まれ」と要求。 何かを指で押そうとするしぐさをしながら「変なことすんな」「押せばぶっ飛ぶぞ」と、爆発物を所持しているかのように装い、乗客と運転手あわせて15人を人質にして、身代金5億円と覚醒剤30キロを用意するよう要求したとされています。 この事件当時、バスの車内にいた乗客らの行動が事件の早期解決につながったとして、愛知県警は乗客の男性4人に感謝状を贈呈しました。 18日に愛知県警本部であった贈呈式で感謝状を受け取った、北区の小川純さん(35)は「6歳になる息子が将来バスの運転手になりたいとの夢を持っているので、今後、このような事件が起きないでほしい」とコメントしています。 愛知県警の増田好泰地域部長は、「みなさんの協力で、当時、車内にいた乗客らが誰一人けがをすることなかった」と感謝の気持ちを伝えました。 事件当時のバス車内の様子について愛知県警は「今後裁判を控えているので、詳しい説明は控える」としています。
亡くなった母親の担当介護士に土下座させたか 50代男を逮捕 静岡市
亡くなった母親の担当の介護福祉士に土下座させたとして、50代の男が逮捕されました。 強要の容疑で逮捕されたのは静岡市清水区の清掃業・今尾祐介容疑者(54)で、11日清水区にある老人介護施設を訪れ、60代の介護福祉士2人を脅し、土下座させた疑いがもたれています。 警察によりますと2人はこの施設に入っていた今尾容疑者の高齢の母親の担当で、母親は去年12月に亡くなりました。 今尾容疑者はこの日、母親の死について話そうとして施設を訪ねたとみられ、警察は今尾容疑者と施設の間に問題がなかったどうか、犯行の動機を詳しく調べています。