テラ社巡るインサイダー 資金提供先からコロナ治療薬の情報入手か

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ジャスダック上場の医療ベンチャー「テラ」(東京都新宿区)による新型コロナウイルスの治療薬開発事業を巡り、金融商品取引法違反(インサイダー取引)容疑で逮捕された会社社長ら2人が、テラ社と共同で新薬開発をしていた医療コンサルティング会社に対し、事件以前から資金提供などをしていたことが捜査関係者への取材で判明した。警視庁捜査2課は、関係のあった同社から未公開情報を入手したとみて調べている。 捜査関係者によると、この医療コンサル会社は「セネジェニックス・ジャパン」(千代田区、破産手続き中=セネ社)。テラ社は2020年4月下旬~5月下旬、セネ社と共同で事業を開始し、メキシコにおける臨床試験で効果が確認されたことなどを公表。4月上旬に1株100円程度だった株価は6月9日に2175円まで上昇した。 逮捕された投資助言会社役員の山崎平馬(49)=千代田区、不動産関連会社役員の山本寅(つよし)(43)=大田区、建設会社社長の久保田俊明(53)=横浜市旭区=の3容疑者はテラ社が新薬開発を進めるなどの情報を発表前に入手し、20年4月中旬~5月下旬ごろにテラ社の株式を購入したとされる。 捜査関係者によると、久保田容疑者は19年秋ごろからセネ社に資金を提供。山崎容疑者も、セネ社から資金調達の相談を受けていた。山本容疑者はセネ社の50代の役員の秘書も務めており、3容疑者はこの役員から新薬開発に関わる重要事実を伝えられていたという。 21年6月にこの役員は毎日新聞の取材に応じ「(山崎容疑者に)『インサイダー取引になるから絶対に(テラ社の)株は買ってはだめ』と伝えていた」と説明。山本容疑者については「運転手だった。勝手に(未公開)情報を使って株を買っていたので、クビにした」と話した。 テラ社の株は20年6月中旬以降、事業の信ぴょう性がないとの疑惑が広がって下落。20年12月に事業からの撤退を表明した。一方、3容疑者は20年5~8月にテラ社株を売り抜け、山崎容疑者は約3000万円、山本容疑者は約1000万円、久保田容疑者は約900万円の不正な利益を得ていたという。【安達恒太郎、林田奈々】

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