長期化する新型コロナウイルス禍の中、癒やしを求めてペットを飼う人が増えている。一方、命を奪う虐待行為や、限度を超えた頭数を飼って劣悪な環境で衰弱死させる「多頭飼育崩壊」も後を絶たない。2020年6月には罰則を強化した改正動物愛護法が施行され、動物愛護に対する社会的関心が強まっている。だが、刑事事件や民事訴訟での司法判断を見ると、動物の命が尊重されているとは言いがたく、強まる市民の意識との間には埋めがたいギャップがある。(共同通信=鈴木優生、助川尭史) ▽猫に火、一転起訴 大阪府箕面市で保護猫カフェを営む木村知可子さんは2017年夏、地域猫の保護活動をする市内の団体から1匹の子猫を引き取って里親を探し始めた。生後3カ月ほどで人なつっこく、カフェの客のひざにすぐ乗りたがる。しっぽがジグザグに曲がっていたことから「ジグザくん」と呼ばれ、かわいがられた。 里親はすぐに見つかった。市内に住む夫婦。以前にも猫を譲渡したことがあり「知ってる人だし」と信頼して猫を託した。定期的に送られてくる写真には、里親と元気に暮らす姿があった。