行方不明になっていた静岡市内の女性の遺体が静岡市清水区の山中で発見された事件で、県警は4日、遺体を司法解剖した結果、他殺が疑われることから、殺人事件として捜査していると発表した。別の場所で殺害されて山中に遺棄された可能性が高いとみて、死体遺棄容疑でも調べを進める。県警は女性から現金をだまし取ったとして逮捕している知人の30代の男が何らかの事情を知っているとみて捜査している。 県警によると、遺体で見つかったのは静岡市駿河区高松2丁目、無職の女性=当時(37)=。金原さんは1月16日から行方不明になり、翌17日に家族が静岡南署に行方不明届を出していた。捜索中の警察官が同30日に同市清水区和田島で遺体を発見し、翌31日に司法解剖を行った。 女性は行方不明になる前の2021年12月、知人の男から現金をだまし取られる被害に遭い、同署に相談していた。県警は今年1月21日、この男を準詐欺の疑いで逮捕している。2人は交際していたとみられる。 関係者によると、遺体が発見されたのは同区のキャンプ場付近の崖下で、死後2週間程度経過していた。外傷があったという。行方不明になる前に女性の軽乗用車がキャンプ場付近を走行していたことが確認されていて、その後、軽乗用車はキャンプ場から遠く離れた同市内の別の場所で発見された。 女性の近所の住民によると、女性は2年ほど前に引っ越してきた。息子と2人暮らしで、顔を合わせれば自らあいさつするなど明るい印象だったという。 ■不明前日に温泉施設利用 遺体発見現場近く 女性は行方不明になる前日の1月15日、遺体発見現場とされる静岡市清水区のキャンプ場付近の温泉施設に立ち寄っていたことが4日、同施設従業員への取材で分かった。 従業員によると、女性は1月15日午後1時すぎ、男性らと温泉施設を訪れた。施設では新型コロナウイルス対策で健康チェックシートへの記入を求めていて、女性が代表として記入したという。受け付けを担当したという男性従業員は「(女性は)言葉遣いが丁寧だった」と振り返った上で、施設の利用について「常連ではない」と話す。 同24日に県警の捜査員が施設を訪れ、14~16日の健康チェックシートの記録を確認したという。従業員は「女性が付近のキャンプ場を利用し、そこから温泉施設にやってきたという趣旨の話を捜査員がしていた」と述べた。