映画『ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ』から、キャストや監督がビリー・ホリデイについて語る特別映像が公開された。人種差別の撤廃を求める人々が国に立ち向かった公民権運動の黎明期といえる1940年代、アメリカ合衆国政府から反乱の芽をつぶすよう命じられたFBIがターゲットにしたのが、絶大なる人気を誇る黒人ジャズシンガー、ビリー・ホリデイだ。 映像の中で、メガホンを取ったリー・ダニエルズ監督(『大統領の執事の涙』『プレシャス』)は「ビリーの人生が衝撃的なのは、政府を敵にしたことだ。リンチの曲『奇妙な果実』を歌おうとしたが、政府に歌うなと言われた」とコメント。「奇妙な果実」は白人によってリンチで殺され、木から吊り下げられた黒人の死体について歌った歌だ。ビリーのバンドメンバー、レスター・ヤング役のタイラー・ジェームズ・ウィリアムズは「この曲は黒人社会の“時の声”だ。唯一我々にできたのが歌を通して訴えることだった」と語り、主演のアンドラ・デイはこの歌で人種差別を告発し続けたビリーを「世界的スターで、公民権運動のゴッドマザーよ」と表現している。