ジョー・バイデン米国大統領が3日(現地時間)、ホワイトハウスの対国民演説を通じてテロ組織イスラム国(IS)最高指導者の死亡を公式発表した。バイデン大統領はISの最高指導者、アブイブラヒム・ハシミ・クラシ氏(46)が米軍の対テロ作戦自ら爆弾を爆発させて亡くなったとし「これで全世界の主なテロ脅威が除去された」と話した。 また、「わが軍人に危険が大きくても空襲(air strike)よりは特殊部隊の急襲を選んだ」と話した。クラシ氏が子どもたちを含む家族とともにいることを知っていたため、民間の被害を最小化するために気を遣ったということだ。 ニューヨークタイムズ(NYT)によると、深夜12時が過ぎた時間に特殊部隊員を乗せたヘリコプターはクラシ氏が留まっていたトルコに隣接したシリア国境の町アートマに進入した。クラシ氏の自宅を包囲した特殊部隊員は拡声器を通じてアラビア語で降参を勧めて対峙状況が続いた。そうするうちに大きな爆発が建物を揺るがし、その後銃撃戦が起きた。 結局、クラシ氏が死亡することで作戦が終了し、作戦3時間で特殊部隊員はヘリコプターに乗って戻ったと目撃者の証言を引用してNYTが報じた。作戦中に機械的な問題で不時着したヘリコプター1機はその後米軍爆撃機が爆破した。 クラシ氏が自爆する過程で子どもと女性を含む13人が命を失ったと伝えられた。バイデン大統領はこれに対して「自分の家族や建物内の他人の命を顧みず、捨て身の臆病な最後の行動を選んだ」と非難した。 また「テロリストが全世界のどこに隠れても脅威を除去することができる」として今回の作戦が米国の能力を見せたと前面に出した。同時に、「われわれがあなたを追い、捜し出すだろう」という強力なメッセージを全世界のテロリストに伝えたともした。 ホワイトハウスはこの日、バイデン大統領が状況室で米軍特殊部隊のアブイブラヒム・ハシミ・クラシ除去作戦を見守る場面をツイッターに公開した。この席にはカマラ・ハリス副大統領、ロイド・オースティン国防長官、マーク・ミリー合同参謀議長、米中央軍のケネス・マッケンジー司令官と国家安保会議(NSC)参謀が同席した。 外信はホワイトハウスが公開した写真が2011年5月、バラク・オバマ元大統領がアルカイダの最高指導者であるウサーマ・ビン・ラーディン除去作戦を見守っている状況室を思い出させると報じた。その写真にはヒラリー・クリントン元国務長官と当時副大統領だったバイデン大統領、副大統領補佐官だったアントニー・ブリンケン国務長官の姿も見ることができる。 当時、ウサーマ・ビン・ラーディン除去作戦以降、オバマ政府の支持率は9%ポイント以上上がった。2004年ジョージWブッシュ元大統領がイラクのサダム・フセイン元大統領を逮捕した時、ビル・クリントン元大統領がスーダンとアフガニスタンにミサイル攻撃を命令した時も支持率の上昇があった。 このため、バイデン大統領が今回のクラシ除去作戦を外交的転換点にしようとするという分析もある。昨年8月、アフガニスタン軍撤収過程での大きな混乱を起こして支持率暴落の契機になり、最近ウクライナ情勢をめぐるロシアとの葛藤、北朝鮮の度重なる武力示威の過程でなかなか外交的リーダーシップを発揮できずにいるという批判が上がっているためだ。 特殊部隊作戦終了直後に声明を出して、またわずか数時間ぶりに対国民演説を行った後、ホワイトハウス状況室の写真まで公開したのも久しぶりの対外的な成果を強調しようとする狙いという分析だ。 インデペンデント紙は今回の作戦でバイデン大統領も若干の支持率上昇を得ることができるだろうが、子どもを含む民間人被害が発生した状況でその程度は限られるだろうと分析した。