オリンピックは選手にとって4年に一度の特別な舞台だ。誰もがそのリンクに立つ姿を思い描き、日々練習を重ね、よりよい将来を、成績を志す。 それでも出場できる人数は限られている。激しい競争が繰り広げられるが、今日のほとんどのスケーターは、フェアな態度を貫く。代表に入れなくても、選ばれた選手を祝福し、代表入りした選手も選ばれなかった選手を思う。 だが、五輪代表選考を巡り、思いがけない事態が起きたことがある。1994年、リレハンメル五輪の代表を巡っての、アメリカの話だ。ナンシー・ケリガンが、代表選考を兼ねた全米選手権の会場内で殴打される事件が起きたのである。