奥野壮、仮面ライダーから暴走族に変身「違う一面を皆さんにお見せできればいいな」

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「仮面ライダージオウ」で知られる俳優の奥野壮(21)が、主演映画「灰色の壁―大宮ノトーリアス―」(安藤光造監督、25日公開)で実在の暴走族総長を演じた。ファッション性に特化した漫画原作の“ヤンキー映画”とは異なり、ガチでリアルな泥臭い物語。リーゼントに特攻服で特撮ヒーローのイメージを一変させた奥野は「自分とかけ離れた人物を演じ、挑戦の連続だった」と撮影を振り返った。(有野 博幸) 1990年代、埼玉県岩槻市(現さいたま市)周辺で活動した暴走族を描いた実録ヤンキー物語。近年、「今日から俺は!」「東京リベンジャーズ」などヤンキー映画が大ヒットしているが、奥野は今作について「泥臭くて、重苦しくて、決して格好いい映画じゃない。でも、そのリアルさが魅力」と語る。 実在の暴走族総長・吉田正樹を演じ、「挑戦の連続だった。殺気だった目付き、乱闘シーン、妻や子供がいる設定も全て挑戦でした」と振り返る。「バイクに乗る」という共通点があるものの、特撮ヒーローとは正反対の役柄。「僕は明るくて、さわやかなイメージを持たれていると思うので、この作品で違う一面を皆さんにお見せできればいいな」と前向きに捉えている。 軽い冗談のつもりで言った言葉が放火事件につながり、逮捕され、人生の挫折を味わう役どころ。浮き沈みの激しい人生をリアルに描く。「ワクワク、ドキドキしたり、ハッピーだったり、感動するだけがエンタメじゃない。この映画を通じて言葉の重み、SNSでの誹謗(ひぼう)中傷、発言に対する責任についても考える機会になれば」と呼び掛けた。 作品の世界観を反映し、撮影現場には緊張感が漂っていたという。「僕自身も役に入り込んで、殺気立ってピリピリしていましたね。現場でリーゼントの髪形をセットして特攻服を着たら一気に気合が入りました」。刑務所に服役したシーンでは丸刈り頭を披露したが、「抵抗はなかったです。みんなに頭の形が丸くてキレイだと褒められました」 「仮面ライダージオウ」で悪役のオーラを演じた紺野彩夏(22)とは今回、夫婦役を演じた。「1年半くらい一緒にやっていた仲間なので、安心感がある。『ジオウ』では敵対する役だったけど、またお芝居できて素直にうれしかったですね」。レゲエグループ「湘南乃風」の若旦那こと新羅慎二(45)は怪しげな雰囲気の暴力団組長を演じ、主題歌とエンディングテーマも担当している。 俳優人生の基盤になっているのが「ジオウ」での経験だ。「仮面ライダーをやっていると、ドラマ、映画、アフレコ、舞台あいさつ、ラジオ、CMという芸能のお仕事の、ありとあらゆることができる。1年半の経験が大きな糧になっているのは間違いないです」 高校1年まで11年間、クラシックバレエに打ち込み、プロのバレエダンサーを目指していた。「高校1年で挫折を経験しました。『努力で埋まらない差がある』『このままではプロになれない』と悩んで辞めました」。将来に悩んでいる時、父親が「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」に申し込み、フォトジェニック賞、明色美顔ボーイ賞を受賞して芸能界入り。バレエで鍛えた体幹の強さは俳優としても生かされている。 俳優デビューから4年。今では「自分と全く違う人生を役として生きられることが楽しい。役作りも撮影中も常に楽しい」と仕事にのめり込んでいる。「今後も貪欲にどんな役柄にも挑戦したい。ナチュラルに幅広い役柄を演じられる役者を目指します」と意欲を燃やしている。 ◆奥野 壮(おくの・そう)2000年8月21日、大阪府生まれ。21歳。17年に「第30回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でフォトジェニック賞・明色美顔ボーイ賞受賞。18年のドラマ「仮面ライダージオウ」(テレビ朝日)で初主演。主な出演作に映画「私がモテてどうすんだ」(20年)、ドラマ「超速パラヒーロー ガンディーン」(21年、NHK)など。170センチ。血液型A。 ◆「灰色の壁―大宮ノトーリアス―」 暴力団「青葉会」が支配する埼玉県東部では若者の抗争が絶えなかった。そこで一躍名を上げていたのが、県下一の勢力を誇る暴走族「桜神會」(おうじんかい)の吉田正樹(奥野壮)。しかし、青葉会とその傘下に入った暴走族「魅死巌(みしがん)」の企みにより、少年刑務所へ送られてしまう。正樹は獄中で復讐(ふくしゅう)を誓い、一刻も早く退所するために模範囚となる。

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