東京・池袋のホテルで男性(82)を刺殺したとして逮捕された藤井遥容疑者(24)は、見知らぬ大人とのデートや性的行為などの見返りに金銭を受け取る「パパ活」を繰り返していた。パパ活は短時間で効率的に現金を稼げることから若者らの一部に浸透しているがトラブルや犯罪に巻き込まれる危険も伴う。 関係者によると、藤井容疑者は広島出身。問題行動を重ね、「怒ると手が付けられない」と認識されていた。飲食店従業員などとして働いていたが、客の財布から現金を抜き取るなどトラブルも絶えなかった。 「面倒を見きれない。一生、刑務所に入れてください」。逮捕後、親族はこう漏らしたという。上京後は定職に就かず、パパ活で生計を立てており、「手軽に多くのカネが入る」と供述。事件当日の1月21日も池袋の路上に立ってターゲットを探し、男性(82)に目を付けた。1万5千円で「契約」し、ホテルに入ったが、男性と金銭トラブルになって犯行に及んだ。 パパ活をめぐっては性犯罪の温床との指摘もある。 警視庁が令和2年1月に強盗強制性交容疑で逮捕した40代男はツイッターでパパ活相手を募集。「食事しませんか」などと返信してきた少女らを誘い出し、睡眠薬を飲ませて乱暴を繰り返していた。警察もネット上の監視を強化。福岡県警は平成30年、「ママ活」の相手を募っていた高2の男子生徒と、警察官が身分を隠して連絡を取り合い、待ち合わせ場所で補導した。 SNSの投稿を分析する文教大の池辺正典教授(情報学)によると、こうしたパパ活など援助交際関連のツイッターの投稿は月約2万~約4万件に上るという。「相手を物色する大人と少女らの投稿が半々くらい。現実世界でのトラブルのリスクが常に付きまとう」と訴える。 性犯罪のほか、誘拐や殺人といった犯罪に巻き込まれる恐れもある。 問題に詳しい澤田奈穗弁護士は、気軽に手を出した若者が、大人の高い期待や要求に応えられずトラブルに陥るケースが多いとみている。「コロナ禍で収入を得る手段が減っているのかもしれないが、他にできることはないかを考え、自分の身を自分で守ってほしい」と警鐘を鳴らしている。