東京・池袋のホテルで1月21日、さいたま市の男性(82)が刺殺された事件で、警視庁に殺人容疑で逮捕された住所職業不詳、藤井遥容疑者(24)が「男性の財布からカネを盗んだ」という趣旨の供述をしていることが2日、捜査関係者への取材で分かった。池袋署捜査本部は、藤井容疑者が男性を殺害後に財布から数万円を抜き取り、逃走したとみて詳しく調べている。東京地検は近く、藤井容疑者の鑑定留置を東京地裁に請求し、本格的な精神鑑定をする方針。 捜査関係者によると、男性の財布はホテル客室内に残され、現金がすべて抜かれた状態で発見。捜査本部は男性が当時、数万円の現金を所持していたとみており、藤井容疑者が殺害後に抜き取ったと判断した。 藤井容疑者はデートなどの見返りに金銭を受け取る「パパ活」で男性と知り合ったとみられる。ホテルに一緒にチェックインしたが、金銭をめぐるトラブルで藤井容疑者が逆上し、携行していたカッターナイフで男性を殺害したとみられる。犯行後、小林優介容疑者(29)=犯人隠避容疑で逮捕=と弟の翔太容疑者(25)=同=と一緒に逃走。22日朝、電車で八王子市内に移動したところをそれぞれ確保された。 地検は、裁判で犯行当時の精神状態が争点になる可能性があることから、責任能力に問題がないことを立証するため、藤井容疑者の鑑定留置が必要と判断。期間は今月4日から約3カ月間とみられる。 事件は1月21日夜、豊島区池袋のホテル10階客室内で発生。藤井容疑者本人から110番通報が入り、池袋署員が駆け付けたところ、全裸で椅子に腰かけた状態で死亡している男性を発見した。胸と太ももに刺し傷があり、死因は出血性ショックと判明した。